Emerald City
私は都会にやって来た
綺麗な街だと思った
でも、あっという間に帰りたくなった
夢に憧れて自分からやって来たというのに
まるで無理やり飛ばされて来た気分だ
すぐに寂しくなる私の癖なのだろう
でも
何かすることがあって来たのだ
それは守らなければならない
とりあえず新しい家に住んだ
わからないことだらけだ
新しい仕事を始めた
わからないことだらけだった
やがて新しい服を買った
新しい友達ができた
今まで食べたことのない食べ物も食べて
だんだんお金も貯まってきて
昔から欲しかった物も、今欲しくなった物も
容易く手に入れられるようになった
今までに話したことのない言葉使いになった
今までしたことのない化粧もするようになった
幸せだと思った
こんなふうだったっけ?
何か忘れてないっけ?
あの日、帰りたいと思っていた自分
実は今でも帰りたいと思っている自分
新しい友達も、とても大切な存在だけれど
本当に会うべき人たちもいる
帰る場所がある
忘れてはいけない故郷
思い出した
忙しいを言い訳にして
帰れないひとになったつもりでいた
でも
私は帰りたい時にいつでも帰ることが出来る
何かの物語の主人公のような
偉い人にお願いしたり、条件を課されたり
誰かをやっつけたりする必要もない
……たまには帰ろうか
そう思った瞬間
もう身支度は整っているのかもしれない
銀色の輝きが、3回またたいた