Eclipse

 

ここは、夜しかない世界の、一番果ての浜辺
すべてのものがいつかここへ辿り着き
目前に広がる海と星空に旅の終わりを知る
私はここで、浅瀬の薄い海面にひたされたベンチに腰掛け
両足をぶらぶらと揺らしては、いつも水を蹴って遊んでいた
目の前の夜空に浮かぶ、ひとつの青い星を眺めながら……
途方もない時代が経ち、その青い星に食が始まった
私は、この時を待っていた
あの星が黒い影に覆われ、輪郭だけとなり
そこからこの浜辺へと、幻のように光る階段が現れるのを……
あぁ、私はあの星へ行きたい
食が終わる前に、階段が消える前に、駆け上る
今度こそ行けるだろうか
……間に合わないことはわかっていた
こんな、星と星を繋ぐほど長い、延々と続く階段を
食の間に上りきれるわけがない
あっと言う間に階段は薄れ消えゆき、私は沖へと放り出された
いつしか上手になっていた泳ぎで浅瀬へと戻り
服を絞りながら溜め息をついて、またベンチに腰掛ける
次の食までどれだけ待てばいいのだろう
きっとまた途方もない時代を待つのだ
今までそうだったように、そして今回もそうだったように
その時もきっと上りきることなんて出来ないと思う
だけどそれでも、待って、待って
いつかまた私は、挑むんだ