目の花

 

ある日、手のひらに目が出来た
最初はちょっとした切り傷だった
傷口がまばたきをして、目になって見開いたのだ
試しに反対の手のひらも切ってみた
やっぱり傷口が目になった
気持ち悪くてその目を刺したら、嫌な音がして血が出てきた
まだ動いていたから、えぐり取ってみた
今度はそこから腕が生えた
手のひらから新しい腕がが生えたのだ
気持ち悪くて切り落としたら、また新しい腕が生えた
さっきよりも長い
気持ち悪い気持ち悪い
自傷と再生を繰り返す
その度に減らないまま増え続けた
そのうち足も生え、頭も生え、目もまたいくつか出来た
そんなこんなで身体の部位は増え続けて
やがて僕は木のようなかたちになった
遠くから見ると木みたいだけど、近くで見ると人間の肌をしているよ
そして、ごらん
目の花が綺麗に咲いて、みんな君を見ているよ