怖い気持ち

 

怖い気持ちになる
あんなに楽しかった飲み会や、友達とバカやった後なのに……
真っ暗な自分の部屋を、玄関から見つめる
酒の気配が自分の中で薄れていく
代わりに何か別のものが満ちていくのがわかる
アルコールで温まったはずの体を冷やす気持ち
とりあえず明かりをつける
誰もいない……
真っ先に風呂をスタートする
待つあいだテレビをつける
見ないでスマホをいじっていると、そわそわしてくる
なんだ、嫌な感じがする
思い立ってカーテンの向こうの闇夜を見に腰を上げる
何も変わったところはない
誰もいない……
風呂が沸いたので、入ることにする
服を脱ぎ、最近鍛えている自分の体を鏡で見てみる
ふと気になって自分の顔を見る
見つめ返す自分
その背後には、誰もいない……
頭を振って、何かを自分に言い聞かせ、風呂に入る
湯船につかり、すりガラスの向こうに目をやる
薄暗い脱衣所には、誰もいない……
……なんなんだ、帰ってからずっと
誰もいない、誰もいない、と
そんなこと当たり前じゃないか
なのに、まるで誰かがいる可能性があることを前提としたような
そんな自分の思考と行動に、また怖い気持ちに陥る
大丈夫なのに
大丈夫、大丈夫なんだ
誰もいない、誰もいない……
首が異様にだらりと長い女なんていない……