桜の下にさまよう日まで

 

また何処にも行くことができなかった
私は梅雨を
夏を
秋を
そして冬をさまよった
それがとてもつらかった
私は意識だけしかもたない、体も声ももたない
……春だけだった
そんな私が幸せだったのは……
同じさまようなら、あの花の近くがいい
次からは、他の季節は身を潜めることにしよう
さまようことはもうやめるんだ
一年の中で一週間だけ
そのひとときだけを楽しみに過ごそう
それが私のすべてでいい
だから、もう眠りにつくんだ
桜の下にさまよう日まで、それを夢見て