つま先立ち

 

届いたって触れられたって
足もとはつま先立ち
頑張って背伸びしたって
少しだってカッコつかない
出会った時から貴女は全てが優れていて
僕の心は瞬く間に奪われた
見た者の心を支配するような
その大人で神秘的な佇まい
初対面の時も、その怖いくらい綺麗な顔に
気軽に話しかけることも躊躇われた
最初はちょっと近づけないくらいに思えた
それでも暖かく、近くにいさせてくれた
僕には越せなかったそんな貴女の背に憧れて
憧れるだけでずっと
憧れるだけだった
貴女はいつの間にか消えるように去って行った
二度と届かない
触れられない
この足もとが地に着く限り、行けない場所へ……
もう届かないのに、触れられないのに
足もとだけはつま先立ち
どれだけ頑張って背伸びしたって
貴女の方がカッコよかった