助けを求めてから手を離すまでの間に

 

助けを求めてから手を離すまでの間に
私はいろいろと考える
助かりたい
という思いと
この人を道連れにしないために手を離さなければ
という思いが入り混じる
泣いている相手を見つめる
視界が滲んで、私も泣いていると気づく
さて、どうしようか
なんて案外冷静な自分にも気づいた
もし手を離さなければ
ひょっとすると助かるかもしれない
でも、まず無理だろうな
手を離せば
私の亡きあとにも、美談として残りそうだ
それもありだな
じゃあ、最後の言葉は何がいいだろう
相手の心に響くものがいい
せっかくなら、ちょっと見栄えの良い最期にしたい
助けを求めてから手を離すまでの間に
素敵なセリフが思いつけたら
それが私の人生のすべてでいい気がしてきた