大きなオバケの木の下で

 

木漏れ日の中
ひときわ大きくて
目立つ木の下で
君と待ち合わせをした
両目と口のような穴が空いた
その大きな大きなオバケの木は
他の誰もが近寄らない
君だけの棲み家だった
今日はどんな本を読もうかしら
なんて
もう、選んで持ってきてるくせに
思わず笑ってしまう
本を開いて
地べたに座り
あたたかい真昼の空気の中で
本を読む
声に出して、読み聞かせる
誰に?
僕と、あと君の後ろの、大きなオバケの木にだ
穴のような両目は
後ろから本を覗き見ているようだった
あなたも、彼女が好きなんだろう?
僕は心の中で
オバケの木に問いかけた