夜になると寄って来る黒いブツブツ

 

夜、布団の中でいつまでも寝つけずにいると
たいていいつも、何かヤバイものが俺の周りに寄って来る
それは黒くてブツブツしていて、暗がりのなか少しだけ光っていて
そして意思と思考をもち、言葉を話す
夜毎に何かうわ言めいたざわめきを囁いては、すり寄って来て
俺をどうしようもなく不安にさせるのだ
決して布団より内側には入って来ないし、顔にも何故か寄って来ない
ただいつしかそれらが布団の周りにびっしり張り付いているのがわかる
そうすると蠢く感触が布団越しに身体に伝わってくるからだ
話す言葉も明確に聞こえるようになる
愛してる
愛してる
そう言っているらしい
そう言って俺を布団ごと抱きしめるように、群れを成して犇めき合うのだ
近頃、悪い気はしなくなってきた
こんな俺を愛してくれるのか、こんな黒くてブツブツした俺なんかを……