幸せになれるのは随分と先のようだ

 

幸せになれるのは随分と先のようだ
そう、青年は呟いた
子供の頃から抱いていた夢は散り
しばらく立ち直れなかった日々
それも新しい出会いがあって
ようやく忘れることができた
久しぶりに満たされた気分
夢の代わりの、それなりな仕事も見つけた
嫌な人生ではなかった
しかしやがて楽しい生活は唐突に終わる
別れの時は訪れ、彼はまたひとりになったのだ
忘れていた未練が蘇る
つらい人生だと、これが続くのだと
思い悩むようになる
仕事が上手くいかなくなった
どうしたんだ、お前、最近、変だぞ
はい、すみません
そうやって日々を送り
月日を送り
年月を送った
また、つらいことがあった
幸せになれるのは随分と先のようだ
そう、老人は呟いた