私のいる街を探して生きて

 

私を失ったあなたは
きっと探してくれるはず
残された僅かな手がかりを頼りに
私のいる街を見つけるため
その人生を捧げてくれるはず
何かに巻き込まれたのかもしれない
大変な目に遭っているかもしれない
無事でいてくれればいいけれど
その安否もわからない
ただ何十年もそのまま行方の知れなくなった私は
たとえ無事だったとしても
あなたが見つける頃には
おばあちゃんになっているかもしれない
何も覚えていないかもしれない
言葉も話せなくなっているかもしれない
それでも
あなたが見つけてくれたことを
嬉しく思うのかもしれない
真っ白な部屋の中
柵に囲われたベッドの上で
あたたかい陽の光を浴びながら
部屋に入ってきたあなたに気づいた私は
そのしわだらけのしぼんだ顔の頬に
涙を流すのかもしれない
だから、私がその時いるであろう白い部屋を
白い部屋がある建物を
その建物がある街を
探して生きて
遠い未来
私はそこに、いると思うから