飾りの街

 

飾りの街に引っ越してきた
この街はとても良い街だ
特に便利なわけじゃない
街並みが綺麗なわけでもない
ただ高級住宅街なんだ
僕はずっとここに住みたかった
たいして使い勝手の良くないブランドの鞄
見ることもない、あっても気にしない絵
飲まないくせに自慢げに並べたワイン
僕の周りは飾り物でいっぱいだ
いるかいらないかつったらいらないんだよ
実用性の面で見たらね
でも、どれも良い飾りさ
つまりこの高級住宅街もそう
この街の存在意義は、飾り、なんだよ
ここに住んでいるという事実が
僕を彩る素敵な飾りなんだ