タイル張りの精神世界

 

私はよく自分の精神世界に入り込む
今の自分を知るためにも
よく客観的観察を行う必要があるのだ
そうするとたいてい
私の精神世界はタイル張りになっている
広かったり狭かったり
暗かったり明るかったりと
日によって違うけれど
タイル張りなのはいつも変わらない
何故か窓はひとつも無くて
地下室のように感じるのも共通している
タイルの色は薄いベージュや水色が多い
けどその時々によって
ピカピカだったり、汚れてたりする
汚れてる時は物凄くきたない
垢のようなものが蓄積してたり
カビのようなものがこびりついてたり
けどよく見ると綺麗な時でも
隅の方はそうだったりした
私は自分の精神世界をしっかり観察した後
現実のタイル張りの世界に戻る
くすんだ白いカーテンに囲われた
柵のついたベッドで目覚め
この窓の無い地下室に入ってくる神様に
今日の精神世界の様子を報告する
神様は念入りに何かを記入しては
私の頭を撫で
白衣を翻して去って行く
……私は時々怖くなる
このタイル張りの世界と
あのタイル張りの世界が
例えばいつの間にか入れ替わっても
いや、ひょっとしてもう入れ替わっていても
私はずっと気づけないのではないのかと