空に降る砂

 

私は地面を歩かない
この場所は嫌いだ
安心できて
大切な人もいて
充実していて
地に足をついている場所
手を伸ばしても届かない空こそ
危なくて
誰もいなくて
寂しくて
足もふわふわ落ち着かない
なのに、憧れる
目を閉じて想像してみる
世界を砂時計のようにひっくり返して
空に落ちて行く私
空に落ちて行く木々

大地
たくさんの、砂
全部落ちるまでにかかる時間
それを待ってから、目を開ける
落ちたすべてがそこにあり
安心できて
大切な人もいる……
地面だ
私は地面を歩かない
この場所は、嫌いだ