お前は嫌われ者だね

 

お前は嫌われ者だね
彼女はそう言った
どうしてという応えはない、彼は押し黙ったまま頷く
世界中の誰もから好かれるなんて無理よ
私が世界中の誰もを好きになれないように
お前が世界中の誰もを好きになれないように
そう言って彼女は彼の頭を優しく撫でて、続ける
すべての人と愛し合うことは出来ない
嫌われ者のお前なんか、私だけに愛されればいい
お前は私のことが嫌いだろうけど