最終列車の行方

 

僕は、最終列車に乗っていたと思う
何とはなしに窓の外を見ると
外は真っ暗だった
夜だからとかじゃない
その前にそもそも地下鉄なのだが
そういう問題じゃないくらい
本当に真っ暗だった
本来見えるはずの柱の影も
壁をつたうケーブルも
何も見えないのだ
窓が黒く塗りつぶされたようだった
僕はふと車内を見渡した
あれ?
こんなに薄暗かったっけ……?
乗っている人たちは、みな顔を伏せ
しめやかに泣いている
まもなく~……
まもなく~……
……
アナウンスが聞き取れない
どうやってこの電車に乗ったのだったか……
だめだ、覚えていない
もう一度、窓を見た
よく見ると反射して車内が写っている
すると、背後に立つ女性に目が留まった
にんまりとした顔で僕を見ている
黒いショートの髪と、肌荒れのある頬
……
この女の人……
どうして僕は
この人と一緒の電車に乗っている……?