アーチをくぐると、見たこともない街に出る
何でもいい
何かアーチをくぐると、必ず迷い込む
はじまりは小さい頃だった
公園の遊具の穴を通ると、知らない場所に出た
ふり返ると穴はあったけど
向こう側はもう公園じゃなかった
その世界で、僕は知らない人になっていた
僕は、そこで生きた
ある日、今度は建物を通り抜けるアーチをくぐった
また知らない街に出た
また知らない人になっていた
そこでしばらく生きて
ある日、トンネルをくぐると、やっぱり違う街に出た
何かアーチをくぐる
その度に知らない街に出て
知らない人になっていて
知らない交友関係に囲まれて生きていくことになった
またアーチを見つけた
もう慣れない世界に入るのも慣れた
今度はどんな人と幼馴染で
どんな人が家族で
どんな仕事をしてる人に、僕はなるのだろう
さぁ、行こうか
次へ
そこでもまた
次へ
アーチをくぐった、先の街へ……
