隣獄

 

誰かが僕の腕をつかんでいる
つかまれてる感覚はない
でも見えるんだ
今日は左側だ
家に帰ってテレビを見ている時だった
左に置いてある蓋つきゴミ箱が開いていて
手が伸びている
前は右側で、寝ている時だった
窓が開いてて手が伸びていた
隣に
何か、開くもの、があるととても良い
その前は職場のデスクで
右側で
引き出しが開いていた
一度だけ、手が出ている状態で中を見たことがある
僕をつかんでいる手は
たくさんの人のなかの
一番上の人だった
その下に、いっぱいいる
そっかそっか
いつもこんなに釣れてたのか
僕は腕をつかむ手を振り払い
糸も切って、パタリと閉めた